犬と暮らす上で一度は検討するのが、避妊・去勢手術。
保護動物を迎える際に、避妊・去勢手術を譲渡の条件にしている団体も少なくありません。
また、手術費用を補助している自治体も多いです。
そのため犬を飼う上で、避妊・去勢手術は当たり前と思われています。
しかし一方で、健康な犬の体にメスを入れるのに抵抗を感じる方や、繁殖を見越して手術をしない方もいらっしゃいます。
大切なコの健康と幸せは、飼い主みんなの願い。
その方法の一つとして避妊・去勢手術をどう捉えるか。
今日はメリット・デメリットそれぞれの立場で、手術について考えてみましょう。
どんな手術をするの?
犬は生後6ヶ月〜10ヶ月ごろに性成熟を迎え、その後、5ヶ月〜10ヶ月ごとに発情期を迎えます。
発情期のタイミングで妊娠・出産が可能になるのですが、それを防ぐのが、避妊・去勢手術です。
男の子は、睾丸摘出術。陰嚢の頭側を切開し、精巣だけを取り出す外科的処置です。
女の子は卵巣と子宮を摘出する卵巣子宮摘出術や、卵巣のみを摘出する卵巣摘出手術が避妊手術となります。
一般的に性成熟を迎え、ヒート・マーキング・マウンティングが行なわれる6ヶ月〜1歳までには手術をした方がいいとされています。とはいえ個体差や健康状態によっても変わるため、獣医師と相談するのがベストです。
避妊・去勢手術のメリットは?
■繁殖を防げる
犬が一度に生む子犬の数は5〜10匹。そのすべてを終生飼育したり譲渡するのは、ブリーダーでない限りとても難しいこと。最悪、多頭崩壊に陥ります。また思いがけず望まない妊娠をしてしまうのも、悲しいですよね。そうしたトラブルを避けるため、避妊・去勢手術を行なうケースがほとんどです。
■病気を防げる
男の子の場合、卵巣腫瘍・前立腺の疾患・肛門周囲腺腫・会陰ヘルニアを防ぐことができます。女の子の場合、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)や顆粒膜細胞腫(かりゅうまくさいぼうしゅよう)といった卵巣の病気や、子宮水症、子宮粘液症、子宮蓄膿症などの子宮の病気、ほかにもクッシング症候群や糖尿病といった病気を防ぐことができます。
ちなみにスタッフの実家のコは子宮蓄膿症になり、破裂寸前で手術できたという、今思い出してもヒヤッとする状況を経験しました。そうした病気のリスクを防ぐ上で、避妊・去勢手術は有効です。
■マーキングが減る
性成熟になると縄張り意識が芽生え、マーキングをするようになります。性成熟前に手術をすることでマーキングを抑えることができますが、一方でこの時期を逃してマーキングが直らないこともあるので要注意です。
■生理トラブルがなくなる
犬は半年に1回ほど、ヒートと呼ばれる生理が発生します。1〜2週間、陰部から出血があるため、マナーパンツを使ったりとケアが必要になります。またその期間はほかの犬を刺激してしまうことから、ケンカなどのトラブルにもつながりやすくなります。避妊手術をすることで、そうしたヒートの大変さを避けることができます。
(ヒート中の過ごし方は、次回のコラムでご紹介します☆)
手術のデメリットは?
■繁殖ができない
これはメリットと相反しますが、避妊・去勢手術をすると繁殖の可能性は完全にゼロになります。一般的に避妊・去勢手術は若い年齢で行なうため、将来的に本当に繁殖を希望しないか、慎重に考える必要があります。
■手術の身体的負担
避妊・去勢手術は外科手術となるため、全身麻酔をかけて行ないます。特に女のコは開腹手術となるため、男のコより体に負担がかかります。また健康な体にメスを入れることに抵抗を感じる方も多く、先延ばしになってしまいがちです。
■ホルモンの影響で太りやすくなる
性ホルモンを司る器官を切除することになるため、手術後は性ホルモンの分泌が崩れ、基礎代謝が下がります。また発情に伴うストレスが減少するため食欲が増し、太りやすくなると言われています。
ほかにも男のコの場合、オスとしてのホルモンがなくなるため、手術後に臆病になったり自信をなくしてしまうケースもあると言われています。
手術後のケアは?
手術自体は消毒や毛刈りを含め、トータルで1時間ほど。開腹手術の場合、経過を見るために1泊入院となる場合が多いです。
手術前は絶食、さらに麻酔をかけて手術ということで、やはり犬にとっての身体的負担は少なくありません。
そのため術後しばらくは、ゆっくり休めるよう環境を整えてあげましょう。
具体的にはこれまでの生活と変わらない環境をつくったり、ほかの犬との接触を避けたり、できるだけ一緒にいて、術後の変化に気づけるようにしましょう。エリザベスカラーをつけるため、部屋を整頓しておくことも大切です。
ちなみに術後2〜3日は、お腹に負担がかかる散歩やお風呂は避けた方がいいとされています。
少量でもエネルギー補給できる食事を
そして大切なのが、栄養補給。
ホルモンの影響で太りやすくなるのが避妊・去勢手術ですが、術後しばらくは手術の疲れで食欲がないコも多いです。そのため栄養のあるフードや、食いつきが良くなるフードを取り入れて、少量でも栄養補給できる食事を用意してあげましょう。
◎術後の食事にオススメなのが「生」シリーズ。
ウェットフードには水分が含まれているので、食事をしながら水分補給ができます。またのどごしが良く、無理なく食べられるのもメリット。普段のドライに足して、食べやすさをサポートできるのもポイントです。
◎粉末サプリ「egao(えがお)」も術後の回復食にピッタリ。
毒素を排出するデトックス効果がある栄養満点のサプリ。粉末タイプでフードに混ぜるだけで手軽に栄養補給ができるため、少量で効率よく栄養を摂るのにピッタリです。
◇ ◇
メリットもデメリットもある、避妊・去勢手術。
体への負担や将来の繁殖という意味でためらってしまうのも、当然のこと。しかし確実に、生殖器系の病気や望まない妊娠を避けることができる手術でもあります。
獣医師とも相談し、愛犬にとってより良い選択を考えてみてくださいね。そして手術後の栄養補給を、パーラブのフードがサポートできれば幸いです♪